現役エンジニアからの手紙(第7回):Do you have a gun? 〜アメリカ生活 その4

[火曜コラム]現役エンジニアからの手紙<第7回>

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Teruhito Fukuoka

Do you have a gun? ~アメリカ生活 その4

前回に引き続きアメリカでの失敗談で今回は風習や風土の違いで日本では経験できないことからきた失敗と苦労のエピソードを紹介します。


入国審査

住んでいたところからは車で1時間走ればカナダ国境。河が国境で橋(ハイウェイ)を渡れば、車で越境できます。国境からさらに4時間ほど走ると、かの有名なナイアガラの滝があり、出張者のアテンド(付添い)等で同僚含めよく行っていました。橋の手前が料金所、渡ってすぐ入国審査所があり、入国審査所は高速の料金所みたいで車に乗ったままで通れます。入国審査って、別に何も違反とかしてないし、やましいことはないんですが、何かと緊張するんですよね。特にアメリカの入国審査は少し厳しめでいろいろと聞かれることが多かったです。
そんな、入国審査での2人の同僚の失敗事例です。
[同僚Sさんの場合]
アメリカ入国の際、審査官の言葉がとっさに理解できなかったみたいです。
審査官 ∞×△□……
同僚  (???わからん。通行料を払えって言ってるんかな? 聞いてみよ。)
同僚  Money?”(通行料を払うんですか?)
審査官  “What!?”
入国審査官にMoney?と聞いたらどう受け取られるかわかりますよね(笑)。そのまま別室に連れて行かれました。
[同僚Tさんの場合]
入国の際の質問で、どこに行くのか? どこ出身? いつまでいるのか? 何を持ってるんだなどと聞かれます。「何を持ってるんだ」の中で「武器を持っているか?」って質問されることもあります。Tさんは赴任2カ月目、かつ初めての経験で若干テンパっていた時に、まさにその質問をされたらしく、
審査官 “Do you have guns? (銃持ってるか?)
同僚 “…Yes!”(はい、私は銃を持っています。)
審査官 ‼︎?”
当然、彼も別室に連れて行かれました。
2人とも、しばらく話して誤解だと理解してもらえ、無罪放免となりました。まだ慣れていない時の話ですが、英語力+慣れなんでしょうね。
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写真:橋の真ん中にある国境
動画:ナイアガラの滝

熊スプレー

これは語学力の問題ではないのですが、ある意味いちばん印象深い話なので紹介します。
第3回(9月15日掲載)でイエローストーン国立公園に行った話をしましたが、その際、1泊だけですがテントホテルに泊まりました。どんなところかというとホテルそのものの建屋はなく、キャンプ場にでっかい常設テントがあり、その中にベッド、トイレ、シャワーがあって、それが1部屋なんです。
国立公園近くで周りは森、熊も当然出るので、熊除けスプレーが部屋に置いてありました。従業員から、グリズリー(灰色熊)は警戒心が強く、入ってくることはよほどでないとないが、黒熊は好奇心旺盛なので、万一テントに入ってきたら使うよう説明を受けましたが、熊除けスプレー自体、もちろん初めて見るものでした。
夜は天の川が肉眼ではっきり見えるくらいの満天の星空、まだ少し寒かったので、テントから少し離れたところで息子と2人、焚き火に当たりながら星を眺めていると、嫁さんがテントから出てきて、テントの入り口を開けバサバサとあおぎはじめました。何をやってるのかと思い、近づいて聞いてみると、テントの中でスプレーを試しに一吹きしてみたとのこと。何をそんな大げさなと、テントに入って息を吸った瞬間! 目口鼻に強烈な刺激‼︎ すぐに外に出ましたが、しばらく涙と咳と鼻水が熊除けスプレーって映画とかTVとかで見るいわゆる催涙ガスで、しかもこんな強烈なものなんだということを人生で初めて味わいました(笑)。
で、結局テントを換気しましたが、匂いが消えるのに30分くらいかかりました。ちなみに、そのスプレー缶にはラベンダーフレーバーの記載がいや、そんなフレーバー要らんやろ? (笑)
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写真:テントホテル
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写真:熊除けスプレー
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写真:天の川

おふろ

一般的にはアメリカの家は日本のお風呂のような深いバスタブはありません。あっても浅いバスタブか、下手するとシャワーだけです。日本とは違い、お湯に浸かるという習慣が基本ないんですね。
でも私は風呂好きなので、浅いバスタブでもお湯を溜めて背中を風呂底につけるようにして、なんとか肩まで入っていました。体勢的にはしんどいので湯量を増やす方法はないかとネットでいろいろ調べると、同じことを考える人がいるんですよねえ、貯湯量を増やす技を発見しました。お風呂の排水口の金具(あふれ防止でバスタブの横についている)を上下逆さまにすると、その排水口が上向きになって、5cmほどですが湯量が上がるとのこと。早速、付け替えてみると確かに湯量アップ! たまに傷なのは、急いでバスタブに浸かると排水が追いつかず、お湯があふれたことが何度かありました(あふれると下階に漏れる可能性あるんで、急いで拭き取る必要あり)。まあそれでも、やはり生まれ育った生活習慣がいいので、近づけようと努力(笑)していました。

そんな失敗や不便さを感じながらも、結局私は4年半アメリカで暮らしました。その間、出張含め日本に帰ったのは都合4回ですが、4回目(4年経った頃)に、日本に帰った際、不思議な感じがありました。

成田経由で途中、東京の友達に会って、新幹線で名古屋まで帰ったのですが、何かこう違和感があるのです。新幹線も長年住み慣れた家や周辺の風景、細かい変化はあれど大きく変わっているわけではないです。新幹線のアナウンス、売り子さん、車の運転、見慣れた街並み、何か微妙に自分の感覚とずれている気がしました。

自分なりに考えた結論はアメリカの生活感覚が自分の中で当たり前になってきていたんだろうなあ、ということ。つまりは電車に乗らない、おもてなしが少ない(笑)、右側通行、ごちゃっとしていない街並み、などなど。これは逆もしかりだったのですが、帰国後3年半ほど経って出張でアメリカを訪れた時、なんの違和感もなく、なんだか隣町に行っていたけれど戻ってきたよ、ぐらいの感じでした。

日本での生活だけではできなかった経験、当たり前が当たり前でないことがあるという感覚……これだけでも海外で生活した意味があったと私は思っています。

執筆:福岡輝人 
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