心に最高の栄養を!だまされたと思って聴いてごらんなさい!

[コラム:音楽]

連載スタートの前に…

だまされたと思って聴いてごらんなさい!

このコラムでは普段はあまりなじみのないクラシック音楽を聴きやすいところから1曲ずつご紹介して行きたいと思います。今、世界が重大な局面をむかえている中、エンターテイメント業界はあらゆるコンサートや舞台芸術作品の上演の中止を余儀なくされています。これはアーティストにとっても大打撃ですが、実は私たち観客側にも大きなインパクトを与える事と言えます。今はあらゆる経済活動がストップあるいは減速していますが、幸い食料や水は確保出来ています。「食欲」は生命を維持するために必要なものです。ですから食が満たされるということは生きる力が湧くという事ですね。それにくらべ、芸術は、まあ無くても生きられない訳ではない。食べて寝ていればとりあえず生命は維持できます。しかし実は食欲を司る脳の部分と美を追い求める脳の部分は全く同じだということを皆さんはご存じでしょうか。つまり体に対しての食は精神に対しての美と同じ役割を持つという事なのです。食が細れば体はもたず、生命を維持することが出来ないように、美(つまり文化芸術)が欠ければ精神は栄養不足となるということですね。

今、新型コロナウイルスの影響で人々はかつて味わった事のない制約を受け、自由を奪われた状態を強いられています。幸い食の面では日本は十分な備蓄を確保出来ているそうで、すぐに食料が尽きる事はなさそうですが、精神のほうはどうでしょうか? 学校へ行けず、図らずも時間がたっぷりとある状況に置かれた今、精神の栄養である文化芸術の、人間が到達し得る至高の作品を味わう絶好の機会ではないでしょうか。今までにこのような事に興味がなかった人も食わず嫌いの気持ちをちょっと横に置いてお付き合いください。そして、いかなる苦境にも耐え得る屈強かつ美しい精神を育てて行きましょう。心と精神に最高の栄養を!

次回から名演奏のYouTubeページと共に1曲ずつご紹介して行きます。第1回は

プッチーニ作曲歌劇「トゥーランドット」より

アリア「誰も寝てはならぬ」 

この曲は世界三大テノールと言われたルチアーノ・パヴァロッティがサッカーのワールドカップ記念のコンサートや2006年トリノオリンピックの開会式などで歌い、世界を魅了しました。CMにも使われているので皆さん一度は耳にした事がある有名な曲です。この歌劇のあらすじもなかなかあり得ない内容でおもしろいです。お楽しみに!

まずは「だまされたと思って聴いてごらんなさい!」

執筆:岸田京子(英語文化学院あすなろ学院長)

コメントは受け付けていません。