プッチーニ作曲 歌劇「トゥーランドット」より アリア「誰も寝てはならぬ」

[木曜コラム:音楽]心に最高の栄養を!だまされたと思って聴いてごらんなさい!<第1回>

プッチーニ作曲 歌劇「トゥーランドット」より

アリア「誰も寝てはならぬ」

まず、つべこべ言わずに(!)聴いてみて下さい。

参考)YouTube(ルチアーノ・パヴァロッティの演奏)


参考)ウィキペディア(トゥーランドット)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/トゥーランドット


トゥーランドットとは中国の姫の名前です。とても美しく、求婚する若者が後を絶たないのですが、冷酷なことでも知られています。彼女と結婚するためには3つの謎を解かなければならず、それに失敗した者は首を切って殺されてしまうのです。今日もペルシアの王子が月の出と共に命を絶たれてしまいます。そこへある国の王子カラフがあらわれ、自分がその3つの謎かけを解いて姫に求婚すると名乗りをあげます。このトゥーランドットが出した3つの謎というのがちょっとしゃれているというか文学的で面白いのです。

トゥーランドット「毎夜生まれて明け方に消えるものは?」

カラフ     「それは希望。」

トゥーランドット「赤く炎の如く熱いが火ではないものは?」

カラフ     「それは血潮。」

トゥーランドット「氷のように冷たいが周囲を焼き焦がすものは?」

カラフ     「それはトゥーランドット」

これで全問正解だそうです。

流れとしてはこれでめでたしめでたしという事になりそうなのですが、そう簡単には行きません。トゥーランドットが結婚をいやがり父王に訴えたのです。父王は「約束は約束だから」と娘を諭します。そしてカラフは姫に対して「私も謎を出そう。私は誰にも名前を知られていないはず。明日の夜明けまでに私の名をつきとめれば結婚をあきらめて私は潔く死のう」と言います。トゥーランドットは月明かりの下で、「今夜は誰も寝てはならぬ。彼の名を解き明かさなければ住人を皆死刑にする」と命令を下します。それを聞いたカラフはこのアリア「誰も寝てはならぬ」をうたいます。

このアリアはその美しさからテノール歌手の憧れの曲なのですが、一躍世界的に有名にしたのはルチアーノ・パヴァロッティという歌手です。彼は世界三大テノールの一人と言われた名手なのですが、あるラジオ番組で彼が歌うこの曲が流れるや否や全ての人を魅了し、CDをシングル発売、イギリスの全ジャンルシングルチャートトップを数週間に渡り記録、全世界で1200万枚以上の驚異的セールスとなりました。サッカーのワールドカップ記念コンサートやトリノオリンピックの開会式でもパヴァロッティ本人の歌唱で披露されました。クラシック内外の色々な歌手のレコーディングがありますが、私はパヴァロッティ以上に完璧に、しかもこの上なく美しく歌われたものに出会ったことがありません。パヴァロッティはルックスはお世辞にも「王子様」という感じではないのですが、この人以上に美しい声と情緒を持つ歌手が今後現れてくるのかどうか……。とにかく最高の歌声です! だまされたと思って聴いてごらんなさい!

執筆:岸田京子(英語文化学院あすなろ学院長)


参考)アリアとはお芝居や筋書きかある物語などの中で歌われる歌の事です。美しく難しい曲が多いので歌手の力量の見せ所であり、聴き手にとっては一番の見どころとなる歌曲です。

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